Fate/Zero 第19話 「正義の在処」 感想
2012年05月14日 08:43 Fate/Zero
「見ていてくれたかい? シャーレイ・・・・・」
少年の日、一人を殺せなかったために大勢を死なせてしまった切嗣。
彼は再び愛する命を天秤にかけねばならない場面に直面することに。
最小限の犠牲で他を救う切嗣の考えを見せてくれる回でした。
魔術師について話すナタリア。
切嗣は魔術刻印の痛みに苦しんでいるようです。
あれからしばらくして父親の魔術刻印を継承したシーンのようですね。
しかしそれは一部で研究に必要な部分はやはり魔術協会が押さえています。
まあ切嗣は父親の研究なんてどうでもいいんですよね。
切嗣にとってもはや魔術は目的でもなんでもなく手段となっています。
あくまで欲しいのは外道な魔術師を狩る力。
起源弾もまたそのための手段であり彼の切り札です。
その恐ろしさはケイネスとの戦いでも見せつけてくれましたね。
ナタリアから学ぶことで自らを鍛える切嗣。
それは封印指定執行者としての生き方をするためでもあります。
島から連れ出されたばかりの切嗣はまだまだ未熟ですね。
それでも銃の分解から組み立てまで出来るのに時間はかかりませんでした。
ナタリアの教えを受けながら、いつしか稼業を手伝えるほどにまで成長します。
それに伴い、輝いていた眼差しは沈鬱に冷えて枯れきってしまいました。
相手を躊躇無く撃ち殺す切嗣はとても十代には見えません。
狩人として活動していく過程で多くの人が犠牲になっていく光景を目の当たりにする切嗣。
アリマゴ島と同じ惨劇は珍しくも無く、世界に蔓延る闇の深さを思い知らされます。
戦場においても目の前の悲劇につい身体が動いてしまう切嗣と、それを窘めるナタリア。
この時にナタリアがふと漏らした言葉。
ナタリアは冗談だと言いますが、その救済を本気でやろうとするのが切嗣という男。
ある意味では聖杯という存在は天啓にも等しかったと思います。
ナタリアの吸ってる煙草の銘柄は台湾お手製の不味い一品のアレですね。
実はコレ蒼崎橙子も吸っている焔龍なんですよね。
前回のアルバといい地味に空の境界と関わりのあるものが出てきますね。
飛ぶように過ぎていくナタリアと切嗣の血と硝煙にまみれた日々。
ある日、悪名高い魔術師である魔蜂使いオッド・ボルザークの狩りに乗り出します。
相手はその名の通りに蜂を使い魔としていて、これに刺された人間はグールになるという凶悪なもの。
その標的が乗るパリからニューヨーク行きの飛行機に乗り込むナタリア。
切嗣はニューヨークでのサポート。
何もかも順調で危険極まりないボルザークを意外なほどあっさり仕留めてしまいました。
しかしナタリアの生涯最悪の危機はここから始まります。
ナタリアが仕留めそこなったボルザークの死徒蜂。
その蜂によって飛行機に居る人間はナタリア以外全てグールに変貌。
ボルザークの体内にから出てくる蜂と人肉を食い合う乗客の図はまさに地獄絵図。
「何があろうと手段を選ばず生き残る」
地獄のような状況ですが、彼女は生きて帰ると切嗣に言います。
切嗣もナタリアの信条と百戦錬磨の手腕は承知しています。
その彼女が生き残る可能性も高いことも分かっている。
だというのに、ナタリアとやり取りする切嗣の様子に葛藤が見えますね。
ナタリアは飛行機内での無事を確保。
空港にも連絡を取り、あとは着陸を成功させるのみという状況です。
ホテルで待つはずの切嗣は何やら動き回って準備。
そんな中、切嗣とナタリアは共に潜り抜けてきた生涯の回想へと話が及びます。
その中で切嗣の素質がナタリアの稼業に合っていたことに及びます。
そして素質で生業を選ぶのは必ずしも幸せなことにならないとも。
この時のヒトの生き様とは程遠い台詞は奇しくもセイバーがライダーに言われたものでもありますね。
切嗣にとって師であり母親でもあったナタリア。
彼女をいつか面と向かって母さんと呼べる日を待っていました。
ナタリアもこの関係が悪く無かった事を告白します。
その彼女が乗っている飛行機を撃ち落とす切嗣。
ナタリアは確かに生き残るかもしれない。
それは飢えたグールを地上に解き放つことになるとしても彼女はそうすると知っていたから。
ならばここで諸共に始末することが犠牲を最小限にすることに繋がる。
色々としてきた準備はすべてこのためでした。
せめて杞憂に終わっていれば・・・。
現実はいつも残酷ですね。
最期の瞬間、ナタリアの口元には笑みが。
大勢を救うために母親すら殺した切嗣。
シャーレイの時のようなことを繰り返さなかったと独白する。
でもこんな結末を望んだわけじゃないと号泣します。
ふざけるな馬鹿野郎と絶叫する切嗣はただただ辛そうです。
どんな大人になりたいかと問うシャーレイの言葉。
遠い日、切嗣は正義の味方になりたいと答えるはずでした。
その正義は、どうしようもない正しさは愛しい人々を奪っていくばかり。
しかしその理想を憎み、呪いながらも全て受け入れることを決意します。
「僕は・・・」の後に続く言葉は少年の日と同じでしょう。
切嗣はこれからも揺るがざる道を歩いていきます。
2話続けての切嗣の過去編でしたが満足のいくものでした。
切嗣が人間らしい心を持ちながら機械のように動いていくようになった経緯がよく分かります。
映像的な力の入れようもあってか、重厚で濃い話は主人公の救いの無い過去をより一層引き立ててますよ。
次回から聖杯戦争に戻りますが、この正義の理想の果てがどう描かれるのか楽しみですね。
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