『Fate/Prototype 蒼銀のフラグメンツ』第12話感想 こうして俗世の世界と魔術の世界の双方に君臨する玲瓏館美沙夜という女王が生まれた
第二部『Best Friend』完!
教訓、友達は選ぼう。
涙を流したり取り乱したりしないところが魔術師の娘ですね。
はたまたそれはファラオにさえ認められた王の気質ゆえか。
だけどやはり幼いところがあったのか考え方が未熟なところもありました。
色々な事情を察してもホーエンハイムの裏切りを信じられなかった甘いとも言える部分。
>「まさか」
>裏切った、のか。
>父を。
>「だって、ヴァン・ホーエンハイム、あなたは……」
>友達だって。
>あなたは、そう言ったのに。
>「過去も、そうでした」
>「現代も、変わらない」
>「――魔術師に、真の意味での友人などいませんよ」
友達って言ってくれた人が裏切るなんて思えないというある種かわいらしい反応。
まだ王子様やおとぎ話に憧れる少女ですから仕方ないのかもしれない。
だけどそんな美沙夜ちゃんに氷の言葉で指摘するホーエンハイムはどこまでも魔術師だった。
美沙夜パパがやさしい魔術師でホーエンハイムが悪い悪い魔術師という対比。
だけど内容を読むと情と優しさと魔術師としての大願の比重が違うだけで
本質は変わらないという面白いものでした。
でもこれ美沙夜ちゃんの主観だからしょうがないけど少し誤解が入ってますよね。
美沙夜パパが玲瓏館家の大願に逆らえずに娘に呪いをかけたという誤解。
呪いの真実と最期の瞬間まで娘のために全力を尽くした父を知った美沙夜はどう思うのだろうか。
真実を知るホーエンハイムは美沙夜パパの結末見て残念だったねーと言い
美沙夜には魔術師には友達なんていないのさという冷たい言葉を残して去るのだった。
わざわざ様子を見に来るということは多少なりとも情はあったのだろうか。
全く気にしてなかったら死体の確認はするまでもないって優雅に去ってもおかしくないですもの。
ホーエンハイムが完全に裏切ってその日の夜は他にも色々あったようで
ファラオ vs アーサー王 の決着はアーサー王の勝ちで終わったらしい。
エクスカリバーでの決着としかわからないけど相手が相手なだけにセイバーも負傷してまして
霊核へ届かんばかりの重傷だったとかだったとか
ファラオライダーの使った神々の威を思わせる超絶の雷撃も気になる。
すいませんそこの戦闘描写詳しくお願いしたい!
なんかもういつの間にか終わってたという感じだ。
あとホーエンハイムとセイバーの会話では
セイバーの体に触れて貴方の願いをあなたの口から聞かせてほしいと言ったり
エクスカリバーの光に興味惹かれてもっかい見たいと思ってたりと
なんかホーエンハイムさんがホモっぽく見えた(失礼)
でもエクスカリバーの光は真エーテルの輝きかもしれないとかさらっと情報もくれたのだ。
そしてこの頃のセイバーはまだ故国の救済を諦めてっていうのも強調されてました。
だから愛歌の行動も悪い魔術師であるホーエンハイムもそのためには容認すると。
亡国の王であり正義の味方ではないのだと。
美沙夜のもとにお姫様を救う王子が来なかったという前後の会話と繋がってるわけですね。
少女を救う王子様が降臨するのはまだまだ先の話であると。
ちなみに今回は愛歌ちゃんの出番全然なかった。
やったことだけはわかっていて、大まかに言うとライダーのマスターとその一族を壊滅
そして霊核へ届かんばかりのセイバーの重傷を跡形もなく治癒。
すごいことなんだけど愛歌おねえちゃんならこれくらいできるかなって
そろそろ読者のみなさんも感覚が麻痺してくることだと思う。
いろいろあった美沙夜はこの聖杯戦争の終了とともに目覚しく成長。
すごい皮肉な話なのは家族も失ってひとりになったことが成長に有利に働いたという点。
自分の生き方を「ただひとりの女王で在ればいい」と決めたらしい。
王者の気風を持ち魔術の世界にも君臨するその姿は英霊にも認められるほど。
クーフーリンをしてまさしく天才と呼ぶべき支配者と評してますよ。
クーフーリンが美沙夜の気質にスカサハの面影を見たのは以前からある話ですけど
さらに今回は表情や仕草はコノートの女王たるメイヴによく似ているという話まで出てきましたよ。
クーフーリン「ってかこれよく見ると生き写しじゃね?」(意訳)
これから二次創作でランサーの過去を描いたらもれなくメイヴが美沙夜さん似かもしれない。
女王であり、ある種の復讐のために戦う妖艶な女という繋がりか。
こうして更にクーフーリンとつなげてきたというか縁を濃くしたかーという感じ。
生前の自分の死に関わった女性と聖杯戦争で関わるということでディルムッドとはお仲間ですね。
そして今更であるが美沙夜のスペックはとても高いねうん。
>「――友達なんて、私には、必要ないもの」
そして最後に美沙夜のこのセリフ。
まさか最高の友達というタイトルでありながら一番なのは友達が居ないことだったというオチだとは。
こうした教訓と実感を胸に話は「Fate/Prototype」本編に続くというわけですね。
気になる戦闘描写もそこそこに第二部『Best Friend』が完結。
けどこれは聖杯戦争には直接参加していない美沙夜ちゃんの物語であると考えれば納得かも。
次の第三部ではどこにスポットが当たるのかとサーヴァントのビジュアルに期待してます。
ついでに前の記事でも触れましたが蒼銀のフラグメンツ書籍化決定です!
9月10日に第1巻、10月10日第2巻が発売予定とのこと。
本文とイラストが全てフルカラーというのが嬉しいですね。
アポクリファなどのTYPE-MOON BOOKSと並べられる四六判サイズというのもナイスな仕様。
描き下ろしをはじめとした追加収録もあるようですしこれはBUY。
友達と言えば元はルヴィアと凛見たいなことだったはずの美沙夜と綾香の関係が気になるが、蒼銀では出ないかな…