『Fate/Prototype 蒼銀のフラグメンツ』第17話感想 愛歌ちゃん無双だけどその渦中にあっても失われない伊勢三少年の聖者っぷりもまたすごい
怪獣王女と聖者の邂逅
愛歌お姉ちゃんが遺した爪痕がまたひとつ
その魔術工房はこと守りに関しては軍隊であろうと魔術師の一団であろうと英霊であろうと
侵入を拒んでみせる不屈の要塞だったのがお姉ちゃんには関係ないぜ。
数多の結界も大魔術も最新鋭の科学技術によるガンターレットも無意味さ。知ってた
静謐のハサン「あそこを攻めるとなれば私も無事では済むまい、覚悟を決めよう」
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静謐のハサン「怪我ひとつないぜわたしたち!」
アサシンもびっくりの愛歌ちゃん無双である。
とはいえ伊勢三家を壊滅させたのにはアサシンが一役買っていて
空調設備の下でアサシンが舞い踊って毒の汗を揮発させればあら不思議
工房の全域がアサシンの毒で満ちた空間に早変わりである。えげつない。
ちなみにちゃんと対毒への備えをしていた優秀な魔術師もいたが
愛歌がアサシンの毒に細工して魔術回路を死の回路へ組み替える効果が付与されてたのでイチコロさ。
手間をかけてまでペットの見せ場をつくるなんて愛歌ちゃんマジ天使。
生前はここまで強力ではなかったと語るアサシンの毒ですが
それでも至近距離で踊って見せれば対象の理性が毒でとろけで獣のように襲い掛かりキスでコロリだとか。
まさにホイホイ恐ろしい。
だが愛歌だけはその踊りを見てもなんともなく普通に綺麗ねとか褒めてくれて
アサシンも頭がふっとーしちゃいそうなくらいに歓喜に包まれちゃうぜ。
なお二人が無邪気なその間も毒による絶叫や断末魔が響いておるのだ。
盲目的に愛歌のことを至高のあるじとするアサシンですが
そんな彼女の心のうちに他にも一人の人間が記憶に残ってました。
バーサーカーのマスターである巽くんである。
>変わった青年だった。
>彼が、もしも、聖者の真似事として犠牲の死を選んだのであれば。
>英霊を操る魔術師としては兎も角、道化の類としては優れていたと言えようか?
>(道化、か)
>仮面を纏って踊り狂う自分にこそ、それは相応しい。
>少なくとも、あの青年よりも。
彼の甘さは出来の悪い冗談のようだったと評価しているけれど。
それでもアサシンの心に残るくらいは意味はあったのだ。
場合によってはもっとわかりあえてたかもしれないと思うと切ない。
伊勢三家が壊滅したことによりオジマンディアスはマスターからの魔力供給が受けられなくなる。
キャスターの見立てでは遠からず消滅することになるだろうと。
しかし愛歌はその意見にそうかしらと未だに警戒しているっぽい発言。
「あのファラオ、とっても強いし奥の手があるかもしれないわ」
彼女にここまで言わせるとかさすが神王ですよね。
ここまでアドバンテージ稼いでも更にアーチャーを動員してファラオを仕留めようと画策します。
こうなるとキャスターは当初の同盟を結んだとき本当にどうやってタイマンで打倒するつもりだったのか気になるぞ。
壊滅した伊勢三家の工房に唯一の生き残り、プロトライダーのマスターになる運命の少年である。
伊勢三家からすれば彼は何が何でも生かしたい存在なので病室も特別性だったようで
機密性だけでなく病室だけで空気が循環するようになっていて、防塵、防毒、更にルーンの処理も。
ファラオに認められた少年は愛歌からもまるで大昔の聖者さまみたいと称されるほど
それゆえに愛歌から興味をもたれてしまったのであった。
少年が聖杯戦争でビーストの犠牲になることは前から明かされてましたがその経緯が明らかに。
愛歌「これを埋め込まれてもあなたが本当に誰も恨まなかったら殺さないであげる」
ということである。
結論から言えば少年はこの戦いに買った。
少年がどんな状態なのかは既にPrototypeで明らかになっている通りである。
手足は壊死、内蔵は融解しているところもある
脳機能と心肺機能が辛うじて残った心臓が脈打つたびに狂いそうになるほどの痛みが襲う肉体。
そんな状態でも誰も恨まないし、自分以外の全てに平穏と平和と幸福を願う姿は高潔すぎるぜ。
ちなみにこのビーストは少年を回収した時の作業員が触れて軽いバイオハザードみたいになったとか。
BC装備の機密スーツを着ていてもそのビーストに接触すれば即座に発狂。
暴れるそいつを取り押さえようとした二人も感染して発狂。
破壊衝動と憎悪を口にしてほかの作業員に襲いかかる有様である。
少年を見習って強靭な精神力で耐えろよというのは酷な話かな。
そんな死を待つだけの惨たらしい体で8年を過ごし、いよいよプロトライダーとの出会いの時。
最初はプロトライダーも自分のマスターの惨状に英雄として救うのが自分の役目だと確信していたが
少年との語らいですぐに尊敬と敬愛を抱き、そして対等な友人関係にまでなります。
>ああ、きみこそが英雄だ。
>大神ゼウスよ、アテナよ、ヘルメスよ、何故、彼を助けないのです。
>此処には誰よりも星座となるに相応しい者がいます。
>英雄。いいや違う、何かを傷付け倒す暴力などに頼らず、聖なるものだけを備えて人々の幸福を願う者です。
少年の人柄に触れてプロトライダーはとにかく少年のことを第一に考えるまでになります。
少年が世界の人々をどれだけ愛しているのかわかるたびにライダーは逆にそれらの人々に不信を抱く。
「きみは人々をこれだけ愛してるけど街でみたあいつらにそんな価値があるのか?」(意訳)
みたいな。
誰も恨まず、あらゆるものの幸福を願った聖者のような生涯はついに幕を下ろす。
少年はプロトライダーの召喚から7日後に息を引き取ることに。
プロトライダーも聖杯戦争など関係なくそれにつきあって消滅する気でしたが
最期の瞬間に少年は自分のサーヴァントを受肉させる。
「幸福な英雄」が聖杯に願うことはきっと幸せで暖かいものだと信じて
だが少年の最期がとうとうプロトライダーを狂気に駆り立てる事となる。
>刹那。心中に渦巻いたものがあった。
>酬われなかったきみの人生を、想って。
>最後まで余人を恨まず、世界の温かさを信じたきみの心に頭を垂れて。
>そして君を救わなかったすべてに、おぞましいまでの憤怒を覚えて。
>――悲しみと、敬いと、怒りが、どろりと溶けて。
>あらゆる色を失って、光の届くことない黒色へと濁り果てて。
>きみは――
>きみだけは、誰よりも、幸せにならなくてはいけない。
>慈しみの手を伸ばさなかったこの世界に、きみを奪わせはしない。
>絶対に。
世界の暖かさ、人々の善、輝き、正しさ、それらを信じて聖杯に望みなど無かった幸福な英雄。
それが聖杯を使って少年に幸福を与えるために真っ向から世界と戦う事になるとはなんとも皮肉である。
プロトライダーは少年の最後の祈りを汚すと知りながらも街中の人間を餌食として聖杯戦争に臨む。
この上で愛歌のこと教えてあげたら滅茶苦茶キレそうだよねこの人。
というわけで愛歌もすごいけど伊勢三少年もすごい話だった。
愛歌と英霊である二人にここまで言わせるとか伊勢三少年マジ聖者。
令呪で受肉の件は地の文でも解説されてたけどやっぱり普通ではないすごいことらしい。
魔術の奥義か応用かなんて言われてたけど単純に少年がすごいってことでいいと思う。
強靭な精神力と優れた魔術の素質を持っていたこの少年が、健常な肉体だったのなら
一体どれほどの人物として大成したのかなんて作中で言われてたけど管理人も気になるぜ。
展開がすごい外道的だった