Fate/Zero 第25話 「Fate/Zero」 感想
2012年06月30日 20:00 Fate/Zero
「―僕はね、正義の味方になりたいんだ―」
壮絶なる人生を歩んできた衛宮切嗣。
誰よりも理想に燃え、それ故に絶望していた男の物語の結末。
彼が手に入れたものは果たして。
ついにFate/Zeroも終わってしまいました。
最後まで面白かったです。
令呪による命令で聖杯を自らの手で破壊してしまうセイバー。
求める聖杯の末路を見届けることなく「人の気持ちが分からない王」を自嘲して現世から消えてしまいます。
セイバーは魔力も失って聖杯も失って世界に留まる力が無くなったことで消えてしまいました。
マスターである切嗣にその意向があればまだしばらく存在できたんでしょうが詮無きことでしょう。
傷つき、何ひとつ報われることなく消えて行ったセイバー。
せめてもの救いはこの後に起こる惨劇を目撃しなかったことか。
惨劇の始まり
夜空に浮かぶ黒い太陽を見て驚愕する切嗣。
切嗣の聖杯の中身を溢れさせないという判断は正しかったのですが、破壊対象を間違えてしまいました。
聖杯を壊しさえすれば惨劇は防げると勘違いしちゃったわけですね。
本当に壊すべきは空に浮かぶ黒い太陽、あの「孔」だったわけです。
致命的なミス。
切嗣にはもうどうすることもできません。
孔が閉じるまでこの世全ての悪の泥があらゆる生命を焼き尽くします。
黒い泥が巻き起こす破滅。
最後に残ったサーヴァントであるギルガメッシュもこれに巻き込まれてしまいます。
圧倒的な力を持つ英雄王であってもこれには為す術もなく分解吸収されてしまいます。
なんともあっけない結末・・・しかし・・・。
この世全ての悪はまだまだ止まらない。
冬木市を焼き尽くさんとする光景はまさに煉獄の炎。
天を焦がすほどの凄まじい災害となります。
10年後のステイナイトでも冬木大災害と呼ばれる大惨事。
切嗣は一人でも多くを救おうと駆け回るが、目の当たりにするのは滅び行く生命。
あの切嗣がこんな表情を見せるとは・・・。
この惨劇をユメという形で目撃していたイリヤ。
自らに待ち受ける運命と泣いている父親の悪夢を見て不安になるイリヤ。
でも父親なら約束を破らないだろう、そう信じてイリヤは切嗣を待ち続けます。
生きていた雁夜。
しかも冬木市を襲う破滅の力を脱し、燃えさかる街を抜けて横断、ついには間桐家に戻って来てしまった。
それも桜を救うという一念によって。
このガッツだけは他のマスター顔負けなくらいですね。
そしてついに蟲蔵から桜を救いだし、凛と感動の再会!
想い人の葵に感謝され、涙の姉妹再会を果たした桜の顔には年相応の表情が戻る。
凛と桜には「雁夜お父さん!」と呼ばれ、なんと幸せな光景だろうか。
これを実現できるのなら、雁夜には命を賭けるほどの甲斐はあったでしょうね。
ついに雁夜は望みを叶えたのです・・・妄想の中で
うん、分かっていてもコレは辛い。
なんというか見ていて痛い、あり得ないだろうと(笑)。
失笑モノである雁夜の妄想を上手く映像化してくださったアニメスタッフは本当に見事。
アニメ見ていてこんなに痛いと思ったのは初めてかもしれない。
雁夜は幸せな幻想を見ながら逝ってしまいました。
現実の桜は雁夜にお父さんと呼びかけるどころかバカな人と冷たい一言。
この蔑むような目がなんとも言えません。
裸の王様ギルガメッシュ
意識を取り戻した綺礼は自分を見守る裸身の男、ギルガメッシュに気が付く。
こんな救いようのないシリアスな話に笑わせてくれるあたりギルガメッシュは凄いですね。
空気読めないってレベルじゃないですよ(笑)。
本当に英雄王を中心に世界が回ってるんじゃないかと錯覚しそうになるw
それにしてもいい体していられますな。
黄金律の均整を備えた彫像の如き完璧な肉体と評されるだけはあります。
同じ男として羨ましいでござる。
現世から消失したギルガメッシュは受肉して復活しました。
しかし肝心の受肉するシーンがカットされているのが残念。
英雄王が圧倒的自我を黒い泥に見せつけるとこだったんですけどね。
ギルガメッシュと契約関係にある綺礼もこの関係で蘇生。
黒い泥が打ち抜かれた心臓の代わりとなっています。
回答を得た言峰綺礼。
目の前の阿鼻叫喚の地獄絵図を美しいと感じる自分の正体を知る。
そして今までの人生と照らし合わせてあまりの皮肉さが痛快でただ笑い続けます。
なんとも哀しい覚醒ですね。
自らの道を定めた綺礼の前に現れる切嗣。
しかし切嗣はもはやかつての面影は微塵もなく、地獄を徘徊する哀れな亡者のようです。
再戦を受けて立つ気の綺礼もあっさり無視して生存者を探し続ける。
そんな抜け殻となった切嗣を見て綺礼も相手にする価値もないと判断します。
しかし切嗣が自分を見過ごす、この事実に綺礼は屈辱感を覚えることに。
さっきまで弾んでいた気分が嘘のように苦々しい表情をしていますね。
ようやく見つけた生存者に涙する切嗣。
たった一人でも生き残りを見つけることができたのは嬉しかったでしょうね。
この救われた少年は「Fate/stay night」の主人公として活躍することになります。
マッケンジー家の朝の食卓。
TVのニュースでは聖杯戦争の爪痕が放送されていますね。
この苛烈な戦争にウェイバーが無傷で生き残ったのもまさしく奇跡でしょう。
勝てはしなかったものの、ライダーと一緒に過ごして得たものは何よりの宝。
聖杯より価値あるものを得て成長したウェイバーはある意味勝利者です。
この経験を経て大きく成長した彼が大活躍するのはまた別のお話…。
いつかどこかで語られるといいですね。
時臣の葬式。
葬式に喪主として参列する凛は気丈な態度。
その母親である葵さんは死にかけた影響で脳に障害を持ったために夫の死を認識していません。
生きていたとはいえ、朧げな眼差しで虚空を見つめながら居ない家族に語りかける様はなんとも痛ましい。
残念ながら葵さんは現実を認識することなく数年後に世を去ることに。
8才の少女だけが過酷な現実に残され、更には大家の全てを背負う。
普通なら不可能ですが凛は強いのでなんとかなってしまいます。
この環境で歪まずにちゃんと育つのも凄い。
そんな立派な凛をつまらないと思ってる綺礼はアゾット剣を凛に送ります。
そう、時臣を殺した凶器ですね。
もちろん凛はコレが父を殺した凶器だと言うことを知りません。
形見として大事にしていくことになります。
父親に思いを馳せて初めて綺礼の前で涙を見せる。
分かりにくいですが内心では思う存分に愉悦してます。
声もなく笑う綺礼。一連の行為は全て自分の娯楽のためでした。
面白い状態なのに問題の凛の態度がつまらない・・・そうだ閃いた!
というわけです。なんという外道。
この運命の剣がどうなるかはstay nightで語られています。
カムランの丘の麓。
もう二度と見たくない血染めの丘に帰って来たセイバー。
ランスロットの最期のセリフはここに持ってきたんですね。
このシーンと一緒にすることで重厚さを際立たせるというのは上手いと思いました。
アニメスタッフさんはいい仕事してますね。
それにしても慟哭に喉を詰まらせて懺悔するセイバーが可愛い
ギルガメッシュではありませんが、セイバーはどんな状態でも可愛いんじゃないかと思う
痛ましいとも感じるのですが、美しいとも感じてしまうのです。
別に愉悦してるわけではありませんよ(笑)。
何度もアインツベルンを訪れたけども結界に阻まれイリヤとは二度と会えなかった切嗣のモノローグ。
イリヤは切嗣が裏切って母と娘を捨てたって吹き込まれてるんですよね。
誤解が解けないまま父と娘が別離って切ないですよ。
シークレットヒロイン藤村大河
士郎の後ろにポニーテールの美少女がチラッと映っていましたね。
この娘も切嗣に想いを寄せたり色々なエピソードがあるのですが割愛w
「……子供の頃、僕は正義の味方に憧れてた」
「なんだよそれ。憧れてたって、諦めたのかよ」
最後の切嗣と士郎の会話。
自分を否定するようなことを言う切嗣に士郎は自分が代わりになってやると言います。
息子の誓いの言葉で切嗣は最期に救われることに。
そしてカムランの丘に居るセイバーにも救いのような光が。
士郎はセイバーにとっても救いとなります。
今回のことで騎士王の願いは微妙に変わってるんですよね。
士郎がこの誓いを胸にどうなっていくかはFate/stay nightで確認すべし。
なんだかstay nightの話ばかりしてますね自分(笑)。
これはstay nightの始まりに至る物語ですから致し方なしと思ってくださいw
エンドカードもそれを表しています。
士郎とセイバー、そしてstay nightのタイトルにもあしらっいる令呪。粋な演出です。
壮大なスケールで紡がれたFate/Zero、面白かったです。
この数ヶ月の間、存分に楽しませてもらいました。
ufotableさんも色々大変な中で素晴らしい作品を作り上げてしまいましたね。
スタッフの皆様、お疲れ様でした。そしてありがとうございました!
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