『Fate/Zero』第50話感想 母親と子供の別れのシーンにナタリアの最後のセリフが追加!切嗣の表情も一言では表せない凄まじくも痛ましいものに!
愛しくて大切な家族を選べない天秤を持つ不幸
ジャンボジェットが空飛ぶ死都になったことに対してお互いに全力を尽くす切嗣とナタリア。
ナタリアはどんなことをしても自分が生き残るために
一方の切嗣はこれ以上の犠牲者が出ないように
被害状況を聞いた切嗣は悔しそうにタバコを握る潰すも腹を決めて行動に移る。
ナタリアが300人の屍食鬼をすべて処分する手段を持っていたらまたこの後の展開は違ってたかもしれない。
運命のその時までナタリアの話し相手になる切嗣だが、二人が過ごした思い出の光景がもうね。
二人で買い物、不味いコーヒーへの文句、ナタリアのお下がり?と思われるサイズのあってない服。
ああ、これは間違いなく家族だ
やめてくださいこの回想見てると切なくなります。
そんな本当に家族と思っているナタリアの生還の芽を潰そうとする切嗣。
彼女を殺したくない、生き残って欲しいと思う気持ちは本物なのにそんなことができる矛盾。
全ては最悪の事態、ナタリアが飛行機を着陸させた際に解き放たれる亡者のことを考えてのことである。
普通の人間なら情に流され目が曇り、事実から目をそらして別の可能性をと悪あがきするものだが
既に切嗣にはそんなことさえできない。
ナタリアも話の中で切嗣の素質について言及してましたね。
素質に沿った生業を選ぶってのが、必ずしも幸せなことだとは限らない。
才能はある一線を越えると、意思や感情お構いなしに人生の道筋を決めちまう。
“何をしたいか” を考えずに、 “何をすべきか” だけで動くようになったらね人間はオシマイなんだと。
もはや切嗣にとっては手遅れにも等しい言葉。
自分は人間なのかと自問自答しながらもその手は淡々と動くばかりである。
ついにナタリアを手にかけてしまった切嗣。
その最期の姿の描写はアニメ版と同じく爆炎の中に散っていく姿。
こうなることを予期していたかのように、口元に小さな笑みを浮かべてるところまで同じですが。
コミカライズ版では最後の言葉までも追加されてました。
切嗣がヒトの生き様とは程遠いただの機械となる道を選んだ事を知ってから逝ってしまうわけです。
これは個人的にかなり良いアレンジでした。
切嗣とナタリアはお互い長く過ごした家族であるのならば
ナタリアは切嗣のことをそれくらい知っているハズという思いがありますからね。
指先と心を切り離して行動できるとはいえ、感情がなくなったわけではない。
失ってしまった母親だと思っていた相手にもう一度会いたいという願いと
これで正しいという判断と思いがせめぎ合って泣き叫ぶその姿は痛ましすぎる。
この絵だけとってみても一言では言い表せない感情の発露を感じられて凄まじい。
この見るに堪えない切嗣のシーンを真じろうさん見事にコミカライズしてくれましたね。
かくて少年の揺るがざる道は定まった。
すべてが報われるその日まで戦い続ける。
憎み呪いながらも胸に宿る理想に従い続けた切嗣は今に至る。
もはや枯れ果てたような男の姿がそこにはあったが、まだ切嗣にも涙はある。
すべてが報われるその日はあまりにも遠い、遠すぎる。
絵も内容もアレンジも素晴らしかった。
特にナタリアと切嗣の家族関係が強調されてたのが良かった。
期待はありましたけどまさかここまで濃いものになってるとは驚きです。
アニメだとネタコラにされてたが、漫画版は悲壮さを際立たせる回になったね