『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ドライ!!』第39話感想 誰かを救う正義の味方ではなく、ただ一人の少女のために全てを賭けて戦い抜いた美遊のお兄ちゃん
コンプエース2016年9月号より
固有結界の作り出した猛吹雪の中での激闘。
世界は違えどそれは英雄王と士郎の戦い。王の財宝は尽くが射出前に撃ち落とされる。
そしてちょっとやそっとの攻撃では怯みもしない捨て身の前進をする士郎。
ついに近距離まで士郎が迫ってきても多くの財を盾に物量戦を展開するアンジェリカ。
対する士郎は距離を詰めてたったひと振りの力を見せつける。あっという間に王手。
かと思われたがアンジェリカには空間置換の魔術がある。
彼女の周囲はバリアのように別の空間に置換されているので通常の攻撃は届かない。
尚且つ置換魔術で接近戦を挑みたい士郎を遠距離へと放り投げることもできる。
中空に放り投げられた無防備な姿に王の財宝の合わせ技。強い。
アンジェリカにすれば何の準備もなく放り出された相手のフィールドでの戦い。
なのにこの応用力とはエインズワースの魔術が便利で強い。
「千山斬り拓く翠の地平(イガリマ)」と「万海灼き祓う暁の水平(シュルシャガナ)」
追い打ちをかけるようにこの巨大な剣による二刀流の絶望感も半端ない。
それに対応してみせる士郎の戦いぶりは鬼神の如しでこちらも異常だ。
そして王の財宝で仕留められぬのならとエアの出番。
あっさり抜いてみせる辺りがギルガメッシュ本人との違い。
彼女にとっては無数の財も究極の乖離剣もあくまでも道具。
真に頼みとするものはエインズワースの力ってことなんでしょうね。
士郎もこれには勝てないと悟ったかの表情を一瞬見せるが戦いはやめない。
全ての剣を束ねて原初の一撃へと最後まで抗う。
当然この究極の一には敵わない。アンジェリカもそれを言葉にしてみせる。
そしてそれを穏やかな表情で士郎が肯定する。
アンジェリカもその姿が意外だったのか衝撃だったのか目が離せないかのようだ。
やっぱアンジェリカさん士郎に執着してるんじゃないかなーという考えが強くなる描写である。
そして士郎は勝つ必要はない。時間稼ぎで美遊を別世界に送り出せばいいのだから。
結論から言うと目論見通りに成功した。
妹の姿はこの世界から消えて幸せになれる世界へと旅立ったのだ。
その瞬間、投影も固有結界の維持もまとめてできなくなる士郎。
そう、いくらリスクありで未来の力を前借りしてると言っても士郎のデタラメには理由があった。
士郎が最後の瞬間まで戦えたのは美遊のおかげ
並行世界へと旅立ったことでその繋がりは消えて士郎も戦えなくなる。なるほどそういう結末か。
満身創痍、ボロボロになり残りの命もどれだけ残ってるのかもわからない。
それでも士郎は勝利した。妹を守って見せた。美遊のお兄ちゃんになれたのだ。
切嗣に報告してみせるその姿はもう迷いも葛藤も乗り越えた男の姿である。
ここまでして逃がした妹が連れ戻された時の心情はどんなものだったのか。
イリヤたちと合流した今の美遊兄の戦いはまだまだ続く。
これにて美遊兄の過去編はおしまい。
ここまで振り返ってみると想像を絶するほどの戦いだった。
そしてこの男は妹のためにまた無茶をするのであろう。だって彼は士郎なのだから。
>ひろやまひろしさん「長く苦しい過去編がようやく終わりました……!」
というわけで次からは主役の活躍が増し増しで描かれるに違いない。
ところで意外にもめっちゃもらい泣きしているルヴィアさんかわいいと思う。
まさに衛宮士郎でした。まひろちゃん最高。