『Fate/Zero』番外編感想 第四次聖杯戦争から三年後、征服王の背中を追いかけるウェイバーがライネスと出会いロード・エルメロイⅡ世を襲名させられた時のお話
ヤングエース2017年7月号より
Fate/Zeroの物語は前回で最終話でしたが今回の番外編で連載は本当に最後。
『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』の三田誠さん書き下ろしのエピソード。
それを真じろう先生がコミカライズという布陣。
物語の時期は第四次聖杯戦争から3年後という話になってます。
番外編ですけど告知と合わせれば30ページ近くあるので読み応えあります。
ある日、ウェイバーはある少女の前に引っ立てられる。
Ⅱ世となる前ではあるが噂はいろいろと立つくらいに活躍している頃。
ウェイバーの面影とエルメロイⅡ世の兆しが感じられる青年期である。
隙も敵も作らずうまく立ち回っていたのだが彼にはファンが出来た。
いや、怪物に目をつけられたというべきか。
その怪物がこの少女。
名をライネス・エルメロイ・アーチゾルテ
アーチボルトの分家であるアーチゾルテ家の娘。
後にロード・エルメロイⅡ世の義妹となる幼女であらせられる。
今はエルメロイ派の次代当主。小学生の頃からエルメロイ派を運営してたのだ。
白い肌に金髪、焔色の瞳を持つ見た目は可愛らしいが毒舌家で尊大な性格。
他人が苦しんでたり未来ある人間が道を踏み外す光景などが大好物。
ハッキリ言って最悪の性格。だけど可愛いのはこの出会いがあったからであろう。
ケイネスの関係者がウェイバーに用があると聞けば復讐を考えるのが普通であろう。
でも最初にぶっちゃけるとそうじゃない。
その目的を明かす前にまずはウェイバーのことを明かしていくことになる。
>まずは世界を半周だ。
>西へ、ひたすら西へ。
>通りがかった国はすべて陥としていく。
>そうやってマケドニアに凱旋し、故国の皆に余の復活を祝賀させる。
>ふっふっふ。心躍るであろう?
かの大王が胸を躍らせた冒険の数々。
それを探して自分の目的を定める旅をしていたウェイバーであった。
時計塔に戻ったウェイバーは三級講師の資格を取得。
そして多額の借金をしてまでケイネスの運営していた教室を買い取る。
引退したベテラン講師を抱え込んで家柄の低い新世代の魔術師の面倒を見る。
そして没落寸前までになったエルメロイ学派の教室を三年間存続させたのだ。
外側から見ると評判の良い授業をしている教室がそこにはあった。
時計塔の授業は付いて来れる者だけが付いて来ればよいというスタンス。
逆の言い方をすれば雑で天才にしかわからない授業というわけだ。
ウェイバーからしたらそんな授業をするほうが難しい。
だから彼なりに授業をするとどうだ。実践的で異様に分かりやすい授業になる。
それが時計塔に居場所のなかった新世代の間で話題になり、広まっていったのだ。
当のウェイバー自身がそんないいものじゃないと思っている。
外側の評判と自分の評価が食い違っているのは変わってないのだ。
弱い者は生き残れぬ時計塔で苦労を背負ってまでうまく立ち回り教室を運営。
周りから見てわかるのはそんなウェイバーの生き方であった。
ライネスはそれがわからない。
だからぶっちゃけて聞いてみれば出てきたのは生真面目な理由。
ケイネスが亡くなったことで学ぶ機会を奪われる者が出てくるかも知れない
だったら僕がその責任を取るというものでした。
これがまっとうな人間たちの話なら普通にいい話なのだがここは時計塔。
人でなしどもが闊歩する良識など行方不明のバケモノの坩堝である。
ライネスちゃん大笑いである
その上で義兄の死を即座にしらじらしく利用してみせる幼女。
ウェイバーもあっさりとそれを受け入れてしまうのである。
ああ…この子は確かに年若いとはいえ時計塔に巣食う怪物である。
後に親愛なるお兄様に悪魔と呼ばれるその片鱗が伺えるのだ。
その責任感と罪悪感にどんどんつけこむ悪魔。
超大作ハリウッド映画とか作れるほどの額になってる借金を押し付けようとする。
参考までに言うとスパーダーマンとかパイレーツオブアリビアンなんかは製作資金300億前後。
本題に入る前のジャブでいじめるつもりだったのだろうが…
すんなり通ってしまう
これにはさすがのライネスも絶句。
そんなんだから調子に乗ってしまう。
アーチゾルテ家はエルメロイ派の中ではかなり下位の家だった。
だけどケイネスの死後に上位の家が残らず離反ないし遠ざかったりした。
そこで目をつけられたのが魔術刻印の移植を受けてなかった幼女。
エルメロイの源流刻印の適応率が突出して高かったライネスが後継者に選ばれたというわけだ。
今度はその修復に三世代はかかるであろうエルメロイの源流刻印。
これを何とかして欲しいと頼む……通ってしまった。
さすがにライネスも心配になってきた模様。
まさかここで間桐臓硯を見ることになるとは…。
これはFate/Zero番外編だからね。そのネタを引っさげて登場だね。
そして話は本題へと入る。
有名なロード・エルメロイⅡ世の襲名(半ば強制的に)である。
こうしてライネスが適齢期になるまで戦うロードは誕生した。
アーチゾルテ家が背負わされたエルメロイ学派の借金の肩代わり
エルメロイの源流刻印の修復。
極めつけにライネスの家庭教師になることも約束。
この件だけでいろいろと背負い過ぎである。だがウェイバーは止まらない。
話がまとまる前に「やるべきこと」があるから命だけは取らないでくれと言ったウェイバー。
そうだね。「生きろ」と命じられたからにはやるしかないよね。
人生が続く限り彼は足掻き続けるのだ。偉大なる王の背中と最果ての海を目指して。
このウェイバーの後年は『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』へ続く。
そしてその事件簿がヤングエースでの連載が決定しました。
漫画家は東冬さん。連載終了した真じろうさんからバトンタッチする感じです。
これでZeroは本当に完結。6年間ありがとうございました真じろう先生。
いち読者として追いかけられた幸せに感謝しつつ先生のこれからのご活躍を応援します。
ドSです。お嬢様!(ほめ言葉