漫画版『Fate/Apocrypha』第14話感想 黒と赤の前哨戦の終わりと、生きることすら難しい名も無きホムンクルスの小さな命へと降りかかる試練の始まり
コンプエース2017年8月号より
入り乱れる黒と赤の戦い。
アーチャーの矢を叩き込まれても意に介さず狂戦士の一撃炸裂。
どちらも致命打には程遠い。
だがアタランテとフランちゃんの激突はその1回で終わりました。アタランテの撤退です。
当初のサポート相手であるスパルタクスも落ちたとなればもう意味はないと。
こういう時に敵を倒すことに拘らないアタランテちゃんは強いし厄介。
これが誇り高き英雄であればこの場でフランちゃんを討ち取ろうとするかもですが
彼女は獣の思考でもって行動する。作戦が果たせぬ以上はもう意味はない。
アタランテはあっさりと敵に背を向けて撤退します。
その全力疾走であっという間に姿を消した敵にフランちゃんは不満げに唸るのであった。
アキレウスとケイローンの戦い。
こちらは互いの顔を見るまでに至らぬ。それもケイローンの矢がすごい。
アキレウス相手に何もさせないケイローンの技量のなんと凄まじいことか。
一方的にやられているのにアキレウスにあるのは歓喜の感情であった。
こちらはアタランテさんとは違って英雄の誇りと己の感情で動く。
だからこそ強敵の出現は何よりも喜んでしまう男なのだ。
とはいえスパルタクスも討たれてアタランテも撤退。
命令はもはや意味を成さない。場所も英雄の戦いの場として相応しくない。
加えて「ここで決着をつけるのは勿体無い」という個人的感情。
以上のことからアキレウスも撤退を選ぶ。なんとも自由な男。
その風格ときたら逃げるのではなくひとまず預けただけと印象づけるに十分。
英雄の中の英雄はこんなところでも一流なのだ。
それにしてもすごいヒントだ
この自信と己の名に対する誇りもまた英雄たらんとする者の姿である。
仮に真名がバレても場合によってはお手上げな強力なサーヴァント。それがアキレウスだ。
なんたってアキレウスは『勇者の不凋花』の効果によっていかなる攻撃をも無効化する。
この効果を打ち消して彼の体に傷を負わせることができるのは神性を持った者のみ。
このため自然とアキレウスと戦うのは黒の陣営で唯一神の血を引くケイローンとなるのだ。
加えて二人は生前の知己。偉大な師と比類なき弟子という師弟関係。
アキレウスも言ってましたがこの戦いは宿命である。
前哨戦が終わっての黒の陣営での反省会。
主にゴルドさんのやらかしたことについての対応策である。
真偽はともかくジークフリートさんの真名がバレた可能性を考慮して動かねばならない。
つまりはジークフリートさんの背中を守るサーヴァントが必要だと。
最初から問題を抱え込んでダーニックさんも気苦労が多くて大変である。
しかしこんなのは序の口なのだ。
これからについて動こうとしたダーニックさんのとこに届いた新たな報告。
アストルフォがホムンクルスを連れて逃げました
途中で警備のホムンクルスに見つかったりする描写が小説ではありますが。
その時の彼らは無言で見送ってくれます。瞳に微かな希望と哀れみを滲ませて。
逃げるとはいってもここはユグドミレニア一族の要塞。
逃げるルートにも魔術による仕掛けがたくさんあるのだ。
アストルフォだけならともかく、まだうまく歩けないホムンクルスを伴っての逃避行。
そんな時は魔術万能攻略書(ルナ・ブレイクマニュアル)
さる魔女から譲り受けた、全ての魔術を打ち破る手段が記載されている書物。
ただ所有しているだけでAランク以下の魔術をキャンセルするすごい宝具だ。
宝具の名前ってそれで合ってるのかって?無論違うけどそれはまだまだ先のお話。
自分の失敗談を交えつつホムンクルスにこれからのことを聞くアストルフォ。
その失敗談というのは樹木にされた経験。普通なら絶望モノの思い出。
ただしアストルフォにとっては良い思い出となっちゃってるのだ。
人生経験のないホムンクルスにだってそれが普通じゃないことくらいわかる。
目の前の男が非常に前向きで、多くの失敗や敗北を「挫折」とは考えない男だと。
そしてそんな英雄の労いの言葉が小さな魂を震わせてくれる。
まだわからないことばかりだがホムンクルスは目的を探そうと頑張る。
そしてそれを阻むのがジークフリートとゴルドさんの二人だ。
次号はとうとう原作1巻の終わりを飾るあのシーンですかね。
名も無きホムンクルスの戦いはもうすぐ始まる。
来月(2017年7月26日)号は『Fate/Apocrypha』の扇子が付録。
石田あきらさんの描き下ろしイラストをお見逃しなく。
ジークくん、しゃべるのどんどん馴れていくなぁ……(ほっこり)