TVアニメ『Fate/Apocrypha』第15話感想 無償の奇跡など存在しないからこそ人は有償の奇跡や聖杯を求めて痛い目を見る
殺伐とした赤の陣営。しかしピンチをチャンスに変える天草。
赤のサーヴァントたちの願いと人類救済をうまく摺り合わせていく。
大英雄アキレウスのかっこよさ。
自分の願いを世迷言だと言われて本気で憤るアタランテさん。
召喚者に対するとジークフリートとの再戦を望むカルナさん。
どれもこれも願いに対してのスタンスからキャラが伝わってきて良い。
問題の人類救済の方法については視聴者にはまだお預けである。
その人類救済と反撃の機会について議論する黒の陣営たち。
人類救済がどんな方法であるにしろ黒の陣営としては阻止する方向に動く。
ゴルドさんが笑ってますが人類救済など普通の人からしたらバカバカしい代物であろう。
魔術師からしたら余計になんだそれはってなるのも道理。
一般人からしたら反応は様々でしょうけど本気にはしない印象。
ここに魔術師が集まるこの空間に一般人は居ない?一人居るんですよね。
優れた魔術師でありながらおおよそ信じ難いほどに人間らしい倫理観を持った女の子が。
今のところユグドミレニアの長と見られているフィオレ姉さん。
彼女が魔術師でありながら真っ当な良識を持ち合わせているという矛盾。
ケイローン先生はそのことでマスターであるフィオレのことを心配しています。
いざという時に人を手にかけることになったらどうなってしまうのかと。
フィオレは魔術師としては間違いなく一流。
だがあまりに優秀すぎて魔術師としての業には直面せずに育ってしまった。
そして直面してしまったのが家で飼っていた犬の悲惨な結末。
魔術師ならこんな記憶も捨て去って大成していく。
だが彼女はそれを捨て去ることができずに思い出としてしまった。
それがフィオレの真っ当な人間らしい感情の維持と形成に繋がったのだ。
ケイローンはそんな迷えるマスターを導かねばならない。
フランちゃんのことを気にしてたカウレスの心のケアまでするのは流石の教師。
自分がいなくなった後にフィオレはどんな道を選ぶのか。
それは家の事情も絡むので姉弟が決めること。
どんな道を選ぶのかはこれからの展開にご期待下さい。
令呪転写きせきなどシーンでは外野が揉めたり揉めなかったり。
モードレッドがジャンヌに令呪をねだるところは優等生に絡むヤンキーみたいなのだ。
ジャンヌさんがジークのこと特に気にかけているのが伝わるのはたまらんでござる。
これだけ念押しして有償の奇跡について説明してもいざという時は使うのだから仕方ないネ。
生きるために培養槽から逃げ出したジークは今や死をも受け入れるほどに強くなってしまった。
そんなジークを心配する姿がお姉ちゃんみたいである。
無償の奇跡など存在しない。
それは獅子劫さんが聖杯を求める理由とも繋がっていた。
魔術師なら誰もが直面する後継者の問題。
ご先祖がちょっと魂を売ったせいで獅子劫さんの家は厄介すぎる問題を抱え込んだのだ。
次の世代に刻印移植できない件は獅子劫さんは諦めた。
けど彼の父親は諦めが悪くて何度でも刻印移植を試そうとした。
それを止めて獅子劫さんは魔術師から賞金稼ぎに転向。
戦場で死ぬのもいいな、むしろ自分の骸は細切れにしてくれって思ってた。
だが彼は聖杯大戦に巡り合ってしまったというわけである。
方針に不平不満は口にするけど最終的には是とするモードレッド。
獅子劫さんとはもう完璧に信頼し合っている二人の描写が心地よい。
聖杯にかける子孫繁栄や獅子劫の家名を遺すという願いも表向きのもの。
本当にやりたいことは別なんだと小説ではわかるようになっているんですが
アニメでも後で語られるかもしれないので今は詳しく語りませぬ。
ここから無能ではないゴルドおじさんのターン。
口は悪いが自分の間違いを認めてどん底から這いがあるのだ。
ホムンクルスに関しては専門分野なのでこの場にいる誰よりも詳しい。
トゥールさんとの組み合わせの良さもここから始まるのだ。
ちなみに小説では語られてますがゴルドさんは全てのホムンクルスを調整してくれた。
ムジーク家はかつてアインツベルンの背中が見えるくらいにはすごい家系だった。
けど今の当主のゴルドさんはそこそこの錬金術師レベル。
魔術の世界はいつだって才能のアップサイドダウンが激しいのだ。
でも今からアインツベルン追いつくのも不可能ではない一応。
今のゴルドさんの代から奇跡的に三代続けて天才が生まれればの話ですが。
ご機嫌なシェイクスピアだ
「いやぁ皆さんお揃いで。今日もいい天気ですなぁ」の白々しさには笑ってしまったのじゃ。
そしてアタランテさんの「汝の頭がおかしいのは分かっている」という発言である。
天草に協力する理由が「面白いから」だからこの評価も当然である。
面白さ優先が作家サーヴァントのモチベであり、強さであり、厄介な点なのだ。
そしておかしいという点では負けていない天草四郎時貞。
人類救済という己の願いのためにどこまでも突き進む。
具体的な方法が明かされるのはまだ先のお話。
チャンスを目前にして本気の顔をする少年に刮目せよ。
というわけで感想かなり遅れまして申し訳ない。
1年の終わりが近づくと残業時間が増すのでご容赦を。
それでもなんとか頑張りたいと思ってるのでよろしくお願いします。
フィオレお姉ちゃんは魔術師になるにはまとも過ぎた。